日本経済新聞電子版(2018年5月18日)にこんな見出しが踊りました。
YouTubeやインスタ、「簡単に稼げる」にご用心!
動画投稿サイトの「ユーチューブ」や画像共有サービス「インスタグラム」を使えば簡単に稼げるといった文句を信じた結果、多額のお金を支払わされる被害が相次いでいる。消費者庁によると50以上の悪質業者が活動しているとみられ、国が後押しする「副業」などの言葉でネット検索して被害に遭うケースが多い。甘い誘いに乗らないよう十分な注意が必要だ。
出典: YouTubeやインスタ、「簡単に稼げる」にご用心
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私にも情報商材を買い漁っていた黒歴史があるので、ついつい購入してしまう気持ちや思考はよくわかります。だからこそ、先輩としてお伝えしたいです。
情報商材に、長期にわたって稼がせてくれるものは、ありません。
「今度こそ稼ぎたい、今度こそ稼げる情報に違いない」と願い、情報商材に依存しているうちは、搾取される側から抜け出すことはできません。
今日は、私の経験を基に、「簡単に稼げる」に用心する方法をお話したいと思います。
情報商材を取り巻く実情や、販売者(アフィリエイター)のターゲット、詐欺商材を見分ける方法などを解説します。どれも当たり前のことですが、これらを再確認するだけで詐欺商材を購入してしまうリスクがぐっと下がります。
それでは早速、始めましょう。
このページの目次
1.情報商材とは?
まずは、情報商材やそれを取り巻く環境について知っておきましょう。
1-1.情報商材とは?
情報商材とは、主にインターネットで販売されるPDFファイルや、動画ファイル、DVDの総称です。様々なジャンルのものが存在しますが、そのほとんどは「稼ぐ方法」などお金に関するものです。
もちろん、すべての情報商材が悪質ではありませんが、「簡単」「確実」「誰でも」「1日○時間で」「再現性100%」などのワードが含まれている情報商材には特に用心が必要と言えます。
例えば、今回の日本経済新聞の記事から引用するなら次のようなタイトル(サブタイトル)です。
- スキルがなくてもユーチューブで簡単に稼げます
- 再生回数が多い動画をつなぎ合わせて投稿するだけで確実に稼げる
- インスタグラムに写真を載せるだけで簡単に稼げる
1-2.どこで販売されているの?
販売スタンド(ウェブサイト)
情報商材を専門に販売しているウェブサイトがあります。
有名なところでは、『infotop(インフォトップ)』や『infocart(インフォカート)』が挙げられます。どちらも10年以上の歴史を持つ老舗です。
私が、情報商材を買い漁っていたのは、このインフォトップが正式にローンチされた2006年前後です。
アフィリエイターのブログや広告
もっとも、最初から「情報商材を買うぞー!」と販売スタンドを訪問する人は少数です。情報商材を購入するキッカケとして圧倒的に多いのは、アフィリエイターのブログや広告でしょう。
アフィリエイターは、販売スタンドとアフィリエイト契約をしていて、自分のブログや広告(リンク)を経由して商品が購入された場合、一定の紹介料を獲得することができます。
その紹介料は比較的に高額で5,000~20,000円/件が相場と言えます。高額であるがゆえに「とにかく買わせる」が目的になってしまっているアフィリエイターも少なくありません。
著名人のLINE
最近では、LINEで友達登録させてから特定のウェブサイト(商品購入ページ)に誘導するパターンも増えています。
このパターンでは、PDFファイルや動画ファイルを買わせることではなく、なにかに登録させることを目的としたものもあります(仮想通貨、海外のギャンブルサイトなど)。
なお、著名人とは、テレビに登場するような芸能人ではなく、インターネット業界で財を築いたことで有名な人です。
1-3.情報商材のなにが問題なの?
では、今回の件も含め、なぜ、情報商材に関する注意喚起がなされているのでしょうか。
様々な論点があると思いますが、結局のところ、「支払った額(期待値)」と「得た価値(結果)」のギャップが原因です。
人がお金を支払うとき、次の2つを天秤にかけます。
- 支払う額(期待値)
- 得られる価値(結果)
「この商品はコスパがいいね」、「価格の割に長持ちする」、「見た目は安っぽいけど最低限の機能はそろってるし、2,000円なら悪くない」、そんな商品レビューを見かけることがありますよね。
これは、「期待値」を「結果」が上回った事例です。
一方、反対の事例もあります。その最たる例が情報商材です。
情報商材の多くは、期待を過剰に煽り商品を購入させます。しかし、煽っただけの価値を提供することができないために、クレームが発生し、問題になります。
つまり、「期待値」を「結果」が下回ってしまっているからです。
わかりやすく例えるなら、「1日2時間の作業で月収30万円!」という煽りをしていたのに、説明どおりに実行しても1円も稼げないというわけです。
……「下回るどころかまったくのウソじゃん!」と感じるかもしれませんが、そのとおりです、情報商材の多くはその程度です。
語弊を恐れず露骨に表現すれば、実現できない嘘を並べて、実際の価値以上の価格で、商品を売りつけているわけです。
つまり、詐欺ですね。だから、結果を伴わない情報商材は「詐欺商材」と呼称されたりします。
今回の日本経済新聞の記事にあるYouTube関連の情報商材の価格は計300,000円以上です。しかし、これが計3,000円なら問題にはならなかったかもしれません(3,000円相当の結果を出すことができる内容ならですが)。
期待値を大きく超える結果を提供できれば、口コミなどが発生します。
2.「簡単に稼げる」に用心する3ステップ
それでは、本題の「簡単に稼げる」に用心する方法をお話します。
大きく3ステップにわかれますが、難しいことはありません。
どれも当たり前のことですが、これらを再確認するだけで詐欺商材を購入してしまうリスクはぐっと下がります。
- 先入観を改める
- 敵を知る
- 情報強者になる
2-1.先入観を改める
ここまでに、情報商材を取り巻く実情(環境)をある程度お話してきました。
本項でポイントをまとめますが、まずはこれらの実情を知っておきましょう。
再現性100%の情報などない
情報商材を評価するうえで、「再現性」という表現がしばしば用いられます。
再現性とは?
科学実験などにおいて、所定の条件や手順の下で、同じ事象が繰り返し起こったり、観察されたりすること。出典: コトバンク 再現性とは
情報商材に置き換えるなら、「その説明どおりの条件や手順で実行すれば、説明どおりの反応が起こり、説明どおりの結果を得られる」かどうかを示す指標です。
再現性100%なら、絶対に同じ結果を得られるということになります。
ですが、当サイトでも何度もお話しているように、ビジネスにおいて絶対はありません。大小にかかわらずどんなビジネスの成功も、失敗の繰り返しのうえに成り立っています。
それにもかかわらず、「再現性100%」「簡単」「確実」「誰でも」……、どういうつもりでそのような表現を用いているのか理解できません。
これらのワードが含まれているものは、最初から疑ってかかってください(と言うより、その時点で購入すべきではないでしょう)。
インターネット上の評価は当てにならない
情報商材を紹介(評価)しているブログなどの90%以上はアフィリエイト目的です。
ブログで言えば、自分では読んだことも試したこともないものを、さも実際に稼げる(た)かのように評価して勧誘しています。
知らない人も多いと思いますが、情報商材の作成者(販売者)から記事のテンプレート(サンプル文章)が提供されているものすらあります。その文章を、なにも考えずにコピペしているだけのアフィリエイターはとても多いです。
広告で言えば、FacebookなどのSNSに手当たり次第に掲載していますし、ある程度の読者数を持つメルマガでさりげなく広告されていることもあります。
いずれにしても、「とにかく買わせる」を目的としていて、あなたのことなど少しも考えていません。鵜呑みにしてはいけません。
2-2.敵を知る
ターゲットはあなた?
販売者やアフィリエイターは、誰をターゲットにしているのか?
- 私のように、すでに詐欺商材をいくつも購入し、信憑性の低さを知っている人?
- ウェブマーケティングの知識があり、いくつかのマーケティング手法を知っている人?
- ビジネスは簡単ではないこと、一朝一夕では完成しないことを知っている人?
どれもターゲットにはなりませんね。
なぜなら、騙すことができないからです。
言い換えるなら、これらを知らない、「成功がコミット(約束)されているビジネス」に群がる人をターゲットにしているのです。
稼げそうなビジネスを見つけたらそれに群がり、別の稼げそうなビジネスを見つけたらそれに群がり……、結果、時間とお金を浪費しているだけの人がターゲットなのです。
このような「群衆型ビジネス」に群がっているうちは、ターゲットにされる側(搾取される側)から抜け出すことはできません。
なぜ、その情報を売るの?
そもそも論であり、当たり前の疑問でもありますが、なぜ、その情報(情報商材)を販売するのでしょうか?
稼げるビジネスなら、競合を増やすことなく、自分ひとりで稼いでいたらよいと思いませんか?
こんな理由付けをよく見かけます。
- 稼げる仲間がほしいから
- 人数が増えても供給過多にならないから
- 大人数で着手した方がシェアを独占できるから
……いやいや、……いやいやいやいや、……そんなことあり得ませんから。
※絶対とは言い切れませんが、少なくとも私が買い漁った情報商材においては、それらはすべて嘘でした。
原理原則で考えてください。
情報商材を購入したすべての人が、まったく同じジャンルで、まったく同じターゲットに、まったく同じ手法でマーケティングするわけです。販売者が本当に稼いでいた内容であったとしても、それと同じように稼ぎ続けられるはずがありません。
情報商材を販売する目的はお金稼ぎです。お金を稼ぐことは悪いことではありませんし、私にもその欲求はあります。
しかし、そうであればなおさらに、稼げるビジネスを販売する理由が見当たりません。多くの場合、次のいずれかであり、どちらであってもあなたは損をするだけでしょう。
- ビジネスが衰退してきたから、ネタを売って一抜けしようとしている。
- 情報商材を販売するために、適当な情報をつぎはぎしてそれっぽいものを作った。
2-3.情報強者になる
検索する
はっきり言って、この「検索する」だけで、すべての問題が解決します。
例えば、大手通販サイトのAmazonで買い物をするとき、レビューを参考にしますよね。
例えば、家電を購入するとき、レストランやホテルを予約するときなど、重要な買い物をするときには口コミをチェックしますよね。
同様に、情報商材を購入するときも検索を怠ってはなりません。
これも当たり前のことですが、気持ちが昂っているからでしょうか、情報商材の販売ページを何度も読み返すだけで(そこに答えはありませんよ)、他サイトで客観的に検討することを忘れてしまう人がいます。
「情報商材を紹介(評価)しているブログの90%以上はアフィリエイト目的」とお話しましたが、残り10%未満のブログは暴露や批判目的です。
※厳密には、暴露や批判によって集客し、本命の情報商材をアフィリエイトする目的もありますが。
いずれにしても、きちんと検索すれば、暴露、批判、正当な口コミやレビューが掲載されたブログを発見することができます。
「○○ レビュー」、「○○ 口コミ」、「○○ 詐欺」などのキーワードで検索し、2~3個のブログなどをチェックすれば結論は出るでしょう。
※○○には情報商材のタイトルを入れてください。
消費者庁のウェブサイトをチェックする
消費者庁のウェブサイトでは、情報商材を始め、インターネット上のトラブルに関する注意喚起がなされています。
あなたが購入しようとしている情報商材そのものの情報をピンポイントで見つけることはできないかもしれませんが、傾向と対策を知ることはできます。
また、インターネットを活用したビジネスの悪いトレンドを知ることは、あなたを情報弱者から情報強者に引き上げることに一役買ってくれます。
下記の注意喚起は定期的に目を通しておくことをお奨めします。
3.最後に
先に、「情報商材を購入したすべての人が、まったく同じジャンルで、まったく同じターゲットに、まったく同じ手法でマーケティングして、稼ぎ続けられるはずがない」とお話しました。
これには、供給過多の状態に陥いるからという理由もありますが、それだけではありません。
それこそ誰でも簡単にビジネスを始めることができる時代ですから、画一的な、個性や特徴のないビジネスは成功しません(15年前であればインターネットを活用できるというだけで大きなアドバンテージになりましたが)。
ビジネスは「あなた」の上に形成されていなければなりません。「あなただけの独自性」が組み込まれていなければなりません。
それが、差別化につながり、競合を寄せ付けない強固なビジネスを創り上げる最短ルートです。
群衆型ビジネスは卒業しましょう!
あなたが詐欺商材を購入してしまう抑止力になれたのなら、次回のシェアも楽しみにしていてください。