今日は、「アクセスの質」についてお話します。
将来的に、あなたのマッチングサイトへのアクセス(流入)の多くは検索エンジン経由になります。
悩みの解決方法を探している人は、まずはGoogleやYahooで検索するからです。
そのため、あなたのマッチングサイト(記事)は検索結果の上位に表示されなければなりません。
上位表示されればアクセス数が増えるからです。
……ですが、ちょっと待ってください。
「とにかくアクセスを増やせばいいんだな」という短絡的な解釈をしていませんか?
このような誤解をしているあなたは、成功への最短ルートから外れていると言えます。
ブログやマッチングサイトを作り始めた人は、どうしても「アクセスの数」を指標にしてしまいがちです。
私に寄せられるご相談の中にもアクセス数(PV数)に関するものが少なくありません。
- なかなかPVが増えない
- 3ヵ月経っても月間PVが1,000を超えない
- PVが増えないから注文が入らない
※私の言う「アクセス」と、「PV」は別のものです。後ほど解説します。
……いきなり極論しますが、増減に一喜一憂するくらいなら、アクセス数やPV数なんて見なくてよいです。
アクセスはひとつのリソース(資源、資産)に過ぎません。
特にマッチングサイトにおいては、「アクセス(PV)の増加=収益の増加」という等式は成り立ちません。
ブログを収益化したいなら、マッチングサイトで稼ぎたいなら、「アクセスの数」ではなく「アクセスの質」を追求しましょう
それでは早速、始めましょう。
このページの目次
1.アクセスとは?PVとは?
1-1.アクセスとは?
アクセスとは、Google検索、Yahoo検索、SNSなど様々なアクセスポイントから「あなたのマッチングサイトへの流入」を指します。
アクセス数とは、「誰かがあなたのマッチングサイトに流入した回数」であり、いわゆる「セッション数」と同義と捉えてください。
1-2.PVとは?
PVとは、「Page View(ページビュー)」の頭文字を取ったもので、「ページが閲覧(ビュー)されること」を指します。
PV数とは「ページが閲覧された回数」です。
1-3.アクセス数とPV数のケーススタディ
混同してしまわないよう、ひとつ例を挙げます。
次の場合の「アクセス数(セッション数)」と「PV数」はいくつか。
- あなたが「社宅 家賃 計算」というキーワードで検索し、私が運営するブログ「パパセンス」の記事『「自宅」を「社宅」扱いにすれば家賃80%オフ!家計も助かる!』を見つけ、閲覧した。
- 同記事の下方にある「関連記事」から記事『本店を移転した際の7つの手続きを効率的に片付ける全手順』を閲覧した。
- サイドバーにある「ブログを書いている人」から記事『運営者プロフィール』を閲覧した。
- 「×」を押して閉じた。
この場合のアクセス数(セッション数)は「1」、PV数は「3」です。
1回の流入があったから「1アクセス」、3つのページが閲覧(ビュー)されたから「3PV」です。
同じ閲覧者でも、異なる閲覧者でも、再度同じ行動(検索から「×」を押して閉じるまで)が取られれば、「2アクセス」「6PV」となります。
つまり、アクセスが発生し、PVが展開していくという流れですね。
アクセスあってこそのPVです。
2.アクセス数とPV数が重要ではない証拠
下表は、私が実際に稼いできたマッチングサイト『残業代バンク』の、「年間PV数」と「(未払い残業代の)年間回収額」の関係をまとめたものです。
※『残業代バンク』は残業代を回収したい人と社会保険労務士のマッチングサイトでした(現在は異なります)。
期間 | 年間PV数 | 年間回収額 |
---|---|---|
2010年9月~2011年8月 | 10,550 | 35,670,000円 |
2011年9月~2012年8月 | 11,911 | 98,610,000円 |
2012年9月~2013年8月 | 102,565 | 81,400,000円 |
2013年9月~2014年8月 | 1,491,996 | 62,860,000円 |
2014年9月~2015年8月 | 3,138,839 | 83,450,000円 |
2015年9月~2016年8月 | 2,761,903 | 74,780,000円 |
参考私が3千6百万円を稼いだマッチングビジネスの収益を大公開!
PV数が2倍になれば回収額が2倍になっているか?PV数が10倍になれば回収額が10倍になっているか?
……そんなことはありませんね。
PV数と回収額の間に比例の関係性はありません。
……年間PVがたったの12,000であるにもかかわらず、私の収入が7,000,000円を越えた年もあります。
これこそが、「アクセス数やPV数なんて見なくてもよい」と言う証拠に他なりません。
3.アクセスはリソースに過ぎない
根本的な質問をします。
あなたは、なぜ、アクセスを増やしたいのですか?
※ここでは「アクセス=PV」と読み替えていただいても構いません。
- アクセスを増やせば、商品が売れるから?
- アクセスを増やせば、収入が増えるから?
- アクセスを増やせば、メルマガの読者が増えるから?
- アクセスを増やせば、カリスマになれるから?
- アクセスを増やせば、他のビジネスに連結したり拡張したりできるから?
……残念ながら、どれも正しい理解ではありません。
アクセスと売上、アクセスと収入、アクセスと読者、アクセスとステータス、アクセスとビジネスの多角化、どれも直結しません。
アクセスはひとつのリソース(資源・資産)に過ぎないからです。
それにもかかわらず、アクセスが増えればすべてが上手くいくかのような勘違いをしている人が多いです。
「アクセスさえ増えれば、PVさえ増えれば、あくせすさえ……、ぴーぶいさえ……」といった具合です。
重要なことは、アクセスというリソースをどのように仕分けし、活用し、育成し、拡張し、あるいは、変換し、ビジネスの原動力にするか?です。
例えば、あなたに1億円の貯金(資産)があるとしましょう。
何も考えず当たり前のように銀行に預けたままにしていてもお金は一向に増えません(なにせ日本は政策金利は「-0.1~0.1%」ですから)。
この資産を原動力に、不動産、FX、国債、スタートアップ企業などに投資してこそお金を加速度的に増やすことが可能になります。
このように、アクセスという資産を貯めこむことをゴールとしていては、成功へのスピードは加速しません。
アクセスを増やしながら、アクセスをどのように有効活用すべきかを考えなければならないということです。
4.アクセスの質
4-1.アクセスの質は検索キーワードで計る
そもそもの誤解は、アクセスの「数」だけを追求し、「質」を追及していないことにあります。
あなたが見るべきは「数」ではなく「質」です。
私が実際に稼いできた『残業代バンク』を例にして解説します。
下表は、ある1ヵ月間における、「Google検索を利用して『残業代バンク』を閲覧した人が、どのようなキーワードで検索したか?」を調べたものです。
※下表では上位20ワードのみ表記しています。
表の見方
本表はGoogleの「Search Console(サーチコンソール)」という機能を利用して調べたものです。登録方法や使い方は別の機会に解説しますが、表の見方は次の通りです。
クエリ:検索キーワード
クリック数:アクセス数(検索結果に表示されたリンクがクリックされた回数)
表示回数:検索結果に表示された回数
CTR:クリック率(クリック数÷表示回数)
掲載順位:検索結果に表示された際の順位(基本的には数字が少ないほど上位表示)
※アクセスはGoogle検索だけでなく、Yahoo検索、SNS経由の流入など様々なアクセスポイントから発生しますので、Google検索のみを対象としたサーチコンソールでは全容を把握できません。但し、アクセスの質を計るうえでは非常に参考になります。
4-2.アクセスのグループ分け
上表の検索キーワードを基に、アクセスを3つのグループに仕分けします。
なお、このグループ分けは、そのジャンルの専門家だからこそできるものです。
『残業代バンク』を運営し残業代請求の専門家である私だからこそ、キーワードを眺めているだけでは得ることのできない経験則を持っている私だからこそ、適切なグループに仕分けできるということです。
(ゆえに、今回は3つのグループになりましたが、検索キーワードなどによっては、2つであったり、4つであったり変動します)
この観点からも、あなただけの「ユニーク・ジャンル」を見つける必要があると言えます。
それでは、一気に仕分けしていきます。ついてきてくださいね。
A.興味があるかわからないグループ
「労働者(残業代を請求したい人)」ではなく、「使用者(残業代を請求されたくない会社)」で構成されたグループであると考えられます。
一見すると「労働者が残業代を請求するため検索しているのでは?」と仕分けしてしまいそうですが、運営者且つ専門家だからこそ「使用者が(残業代を請求されないために)検索している」と判断できました。
と言うのも、フレックスタイム制や就業規則は残業代を請求されないための仕組み作りに欠かせないものでもあるからです。
また、フレックスタイム制については1ヵ月間で3,800回もクリック(閲覧)されているのに、フレックスタイム制を争点とした相談はほとんどない(つまり労働者の検索ではない)ことも判断基準のひとつです。
B.そのうち商品を購入してくれる可能性があるグループ
「自分の労働時間に疑問を持ち始めている人」で構成されたグループであると考えられます。
※「残業時間」ではなく「労働時間」というキーワードであることから、前出のグループ同様に「使用者」が混ざっていることも考えられますが、ここでは考慮していません。
労働時間(残業時間)に関する正しい知識を求めていますので、専門家として腕の見せ所です。
具体的には、正しい知識はもちろん、あなたの商品(サービス)の強力なコンセプト(閲覧者が既に知っている解決方法よりも優れた点)を提供することにより、専門家であるあなたのファンになってくれる可能性が高いグループです。
C.いますぐ商品を購入してくれる可能性があるグループ
「自分に未払い残業代が発生している可能性や事実を認識している人」や「請求することを決め、未払い残業代の計算を始めている人」で構成されたグループであると考えられます。
あなたのマッチングサイトが、あなたの専門性、商品の強力なコンセプトをスムーズに伝えているのであれば、そっと背中を押してあげるだけで商品を購入してくれる可能性が高いグループです。
このように、アクセスには質(段階)があるのです。
あなたのマッチングサイトへのアクセスが、「興味があるかわからないグループ」からのものだけであったらどうなるでしょうか。
アクセスは増えているのに、まったく商品を購入してもらえない状況に陥ります。
アクセスの本質を理解していないあなたは、こう思うでしょう。
「きっと、アクセス(PV)が足りないからだ、もっともっと増やさなければ!」と。
そして、明後日の方向に進み、成功への最短ルートから外れ、余計な労力をつかい、ストレスを抱え、飽き、新しいビジネスを探し始めます。
まさに「群衆型思考」に逆戻りしてしまうのです。
5.アクセスピラミッド
5-1.アクセスピラミッドとは?
それでは、アクセスに有効活用についてもう少しだけ掘り下げてみます。
前項でアクセスをグループ分けしましたが、多くの場合、これらグループはピラミッド型になります。
5-2.アクセスの活用、育成、拡張、変換
さて、先に「重要なことは、アクセスというリソースをどのように仕分けし、活用し、育成し、拡張し、あるいは、変換し、ビジネスの原動力にするか?である」と話しました。
グループ分けによって「アクセスピラミッド」が完成した現時点は、「仕分け」が完了している状態です。
よって、次は、このアクセスピラミッドを基に、アクセスの「活用」「育成」「拡張」「変換」することを検討しなければなりません。
但し、難しいことはないため安心してください。
ほとんどのビジネスモデルにおいては、下図のようになるからです。
それぞれの詳しい解説は別の機会にしますが、それぞれ簡単に触れておきます。
活用とは
「いますぐ客」は、あなた(あなたのビジネス)にとって最適なアクセスです。
このまま活用することができます。
あなたのマッチングサイトが、あなたの専門性、商品の強力なコンセプトをスムーズに伝えているのであれば、通常時は何もする必要はありません。
反対に「いますぐ客」のアクセスが多いにもかかわらず注文が入らなければ、マッチングサイトのどこかに欠陥があると言えるでしょう。
育成とは
「そのうち客」は、いわゆる見込み客です。
育成をすることによって、「いますぐ客」まで引き上げることができる貴重なアクセスです。
そして、この「育成」こそが「マーケティング」と呼称されるものです。
マーケティングとは、「あなたの商品の価値を高め、その商品が欲しくてたまらないという欲求を作り出すこと」です。
拡張または変換とは
「はてな客」は、あなたが持て余すアクセスです。
アクセスの大部分を占めるグループであるにもかかわらず収益化できていないわけですから、非常にもったいないとも言えます。
このアクセスを収益化するためには、「拡張」または「変換」が必要です。
「拡張」とは、広義での同ジャンル内で、ビジネス範囲を拡張することを指します。
例えば、「残業代請求をしたい人のマッチング」だけではなく、新たに「残業代請求をされた会社のサポート」なども始めるということです。
「変換」とは、「はてな客」の求めるものを提供することによって、「はてな客」を「そのうち客(いますぐ客)」に変換することを指します。
例えば、新たに「就業規則をフレックスタイム制に対応した形に変更するサービス」なども始めるということです。
6.最後に
アクセスはひとつのリソース(資源・資産)に過ぎず、「量」より「質」を見なければならないことをご理解いただけましたでしょうか。
アクセス(PV)は、量を増やせばすべてを解決してくれるような魔法の杖ではありません。
まずは、獲得したアクセス(リソース)の質を見極め、有効活用し、収益を最大化できる仕組みを構築することが重要なのです。
あなた(あなたのビジネス)に収益を最大化する準備ができていなければ、アクセスを増やしても意味がありません。
ざるで水をすくうがごとく、小さなグラスに大量の水を注ぐがごとく、ほとんどのアクセスを無駄にするだけでしょう。
「アクセスピラミッド、作ってみようかな」と感じてもらえたなら、次回のシェアも楽しみにしていてください。