昨年の11月、現役高校生からコンサルティングの申し込みがありました。
……正直、驚きました。「最近の高校生、意識たかっ!」と。
※この高校生Tさん(男性)は来春から大学生です。おめでとうございます。
今のところ、高校生はTさんひとりですが、コンサルティングに関する問い合わせの20%は学生(主に大学生)からのものです。
意外に多いと感じませんか?「学生起業」という言葉を耳にする機会が増えたことにも納得です。
私が学生だった頃、起業したいと思ったことなどありませんし、ちょっと恥ずかしいですが「起業」という言葉すら知らなかったかもしれません(専門学校に通っていましたから就職しか頭になかった)。勉強や部活に励むわけでもなく、趣味に没頭するわけでもなく、毎日をダラダラと過ごしていました。
「もし学生時代に戻れるなら、なにをしたい?」と質問されたら、私は「起業したい、それも少しでも早い段階で」と即答します。なぜなら、学生時代ほど起業に適した期間はないからです。社会人になり、結婚し、親になったいまだからこそ、そう言い切れます。
だから、学生からの問い合わせを受ける度に、こう思います。
学生のうちに起業という選択肢に出会えるなんて幸せ者だな!
私も学生時代に起業したかったよ!
もしあなたが学生で、起業したくて悶々としているなら、私が学生に嫉妬する起業を奨める理由が参考になると思います。
……というわけで、今日は、「学生に起業を奨める理由」についてお話します。
※本記事は、在学しながらの起業を奨めるものです。中退しての起業を奨めるものではありません。
学生の起業意識が高まっているなか、あなたは起業しますか?しませんか?私が学生に起業を奨める7つの理由をお話します。「学生時代ほど起業に適した期間はない」ことに気づいてください。また、あなたの起業やビジネスの潤滑油である「社会人基礎力」も意識しましょう。
それでは早速、始めましょう。
このページの目次
1.事実、学生の起業意識は高まっている
本題に入る前に、学生起業を取り巻く状況を知っておきましょう。
1-1.全体で見れば起業家の数は横ばい
次のような話を見聞きしたことがありませんか?
- 起業したい人が減っている
- 起業する人が減っている
これは事実なのでしょうか?
下図は、学生に限らず全年齢における「起業希望者(起業したい人)」、そのうち「起業準備者(起業の準備をしている人)」、「起業家(過去1年間に起業した人)」の経年推移をまとめたものです。
79年(1979年)を例に解説すると、この年の起業希望者は約304万人、そのうち起業準備者は約127万人、起業家は約32万人です。※色分けについては凡例や注釈を参照。
「起業希望者」の推移に目を奪われるかもしれませんが、注目すべきは「起業家」です。
「起業希望者」が大幅に減少しているにもかかわらず、「起業家」はほぼ横ばいなのです。
起業希望者に対する起業家の割合は年々増加しているとも言えますが、いずれにしても「起業家」の数に大幅な増減はなく、毎年30万人前後が起業しているのです。
中小企業白書とは、「中小企業の動向及び中小企業に関して講じた施策並びに講じようとする施策」に関する報告書。毎年、政府から国会に提出されている。
なお、上図は総務省が5年ごとに行う「就業構造基本調査」が基になっているため、データも5年ごとになっている(1982年までは3年ごと)。
1-2.起業家の年齢層は上がっている
下図は、「起業家(過去1年間に起業した人)」の年齢別構成を男女別にまとめたものです。
男女ともに「60歳以上」の割合が増加傾向にあり、2012年には、女性が20.3%、男性が35.0%まで増加しています。特に男性の場合、定年退職後のセカンドキャリアとして起業するケースが増えていると考えられますね。
一方の、学生が含まれる「39歳以下」の割合は減少傾向にあると言えます。
1-3.学生の起業意識は高まっている
「39歳以下」の起業家の割合は減少傾向にありましたが、「学生」においてはどうなのでしょうか。
下図は、「起業希望者全体のうち、在学中の起業希望者が占める割合」と、「起業準備者全体のうち、在学中の起業準備者が占める割合」の経年推移をまとめたものです。
「39歳以下」の起業家の割合は減少傾向にありましたが、そのうち在学中の学生だけを抽出してみると、学生の起業意識は高まっていることがわかります。
※「起業希望者」と「起業準備者」の割合であり、「起業家(起業した人)」の割合ではありませんから、あくまで意識の話です。
1-4.起業希望者が起業準備になれない理由
本記事をお読みいただいているあなたは、「起業したいが、起業の準備を始めることができていない人」ではないでしょうか。
下図は、「起業希望者」が「起業準備者」になれない理由、つまり、一歩を踏み出せない理由を、年齢男女別にまとめたものです。
第1位は「事業に必要な専門知識、経営に関する知識・ノウハウの不足」です。
第2位は「起業への不安(収入の減少、失敗時のリスク等)」です。
一方で、「具体的な事業化の方法が分からない」や「製品・商品・サービスの具体的なアイデアを思いつかない」という理由は下位です。
つまり、ビジネスアイデアを思いついていて起業したいのに、なんやかんやと言い訳をして起業への一歩を踏み出せない人が多いと推察されます。
……あなたが一歩を踏み出せない理由も同じですか?
学生ではなく、社会人であれば、特に第2位の「起業への不安(収入の減少、失敗時のリスク等)」を感じることは当然だと思います。もっとも、起業の質を上げてリスクを減らすのではなく、起業の質を下げてリスクを減らすという考え方ができれば、リスクなどありませんが。
しかし、学生であるあなたがこれらを理由に一歩を踏み出せないのであれば、それは的外れではないでしょうか。
次項から今日の本題に入りましょう。
2.学生に起業を奨める理由
それでは、私が学生に嫉妬する起業を奨める理由をお話していきます。
理由1.路頭に迷わない
起業したら給料がほしいですか?……もちろん、ほしいですよね。
では、給料が必要ですか?……必要(必ず要る)ではありませんよね?
私には2人の子供がいます(もちろん、妻もいます)。
4人家族の場合、居住エリアや、住宅ローン(家賃)の額にもよりますが、少なくとも月30~40万円くらいが必要です。
子供たちを高校や大学に進学させようと思えば、学費を支払うための貯金分も稼がなければなりません。
とりあえずのアルバイトで稼げる額ではありませんから、突然収入がなくなれば死活問題です。正に家族全員が路頭に迷うレベルです。
だから、社会人が「起業への不安(収入の減少、失敗時のリスク等)」を感じるのは当然なのです。
しかし、学生であるあなたはどうでしょう?
学費や生活費を親に支払ってもらっている人は、給料がなくても問題ありません。
中には、自活しなければならない(他人の援助を受けず自分の力で生活しなければならない)人や、奨学金を返済するために稼がなければならない人もいるかもしれません。大変だとは思いますが、敢えて乱暴な表現をさせてもらえるなら、とりあえずのアルバイトでも稼げる額です。
元々まとまったお金を稼ぐ必要がないのですから、起業して収入がゼロであったとしても、失敗したとしても、痛くもかゆくもありません。
だから、学生が「起業への不安(収入の減少、失敗時のリスク等)」を理由に一歩を踏み出さないのは的外れなのです。
理由2.最新鋭の武器が揃っている
冒頭で「私が学生だった頃、起業したいと思ったことなどありませんし~」とお話しました。原因は私の無知にありますが、ひとつだけ言い訳をさせてください。
いまとは時代が違うのです。
私がパソコンを使い始めたのは20歳か21歳です(私は専門学校卒なのですでに社会人)。
想像もつかないでしょうが、Googleが日本に上陸していない頃の話です。
新宿駅西口の「○○カメラ」に初めてのパソコンを買いに行きましたが、実はパソコンがいくらくらいかも知らなかったため、その価格に目が飛び出た記憶があります。その足でアウトレットコーナーに向かい、IBMの型落ち商品を買いました。
※IBMのパソコン事業は2005年にLenovo(レノボ)に売却されました。
しかし、いまでは、数万円で最新のパソコンを入手することができるようになりました。
それこそ、「○○カメラ」のアウトレットコーナーなどまで行かなくても、自宅に居ながらネットで注文すれば翌日には配送されます。
誰でもどこからでも世界中に向けて情報を発信することができ、反対に世界中の情報を収集することもできます。
ビジネスに必要なツール(ソフト)を高額で買う必要もなくなりました。
ほとんどの作業は無料ツールで完遂することができます。
あなたには当たり前の環境かもしれませんが、私と同年代の人や、いわゆる団塊の世代の人からすれば考えられないことです。
そこにはもう、社会人、大学生、高校生、中学生……の境界線はなく、チャンスは平等に与えられているのです。
理由3.学生(若さ)はブランドである
あなたが「チャンスは平等に与えられているって言うけど、若いってだけでバカにされない?」と気後れしているとしたら、それは大きな間違いです。
語弊があるかもしれませんし、誤解を招くかもしれませんが、そんなことを抜きにして言い切ってしまえば……
学生(若さ)はブランドです。
例えば、私が「洗いから乾燥までをわずか10分で完了させる洗濯機」を開発したとします。
しかし、学生であるあなたも、まったく同じ商品を、まったく同じタイミングで開発しました。
どちらの商品が売れると思いますか?
……そうです、学生であるあなたが開発した洗濯機の方が売れるでしょう。
同じプレスリリース(報道関係者に向けた発表)を配信しても、取り上げられるのは学生であるあなた(の商品)ばかりです。
店頭展示でも、私の商品には「わずか10分で乾燥まで!」というポップが貼られるだけですが、あなたの商品には「学生が開発!わずか10分で乾燥まで!」という強力なキャッチコピーが付けられます。
※本例は、学生が開発というキャッチコピーが強力であり目立つという趣旨です。学生が開発した商品の方がイメージがよいという主旨ではありません。
例えば、私がある投資家に事業投資をお願いしたとします。
ところが、学生であるあなたも、まったく同じプランで、同じ投資家に事業投資をお願いしました。
投資家はどちらに投資すると思いますか?
……そうです、学生であるあなたに投資するでしょう。
「若い芽を育てる」という言葉がありますが、成功者ほど若い芽を育てたがる傾向があります。
もちろん、若い方が何度でも再起を図れる、若い方ががむしゃらに働く、若い方が可能性がある……などの理由もありますが、「これから日本の経済を担っていく若者を育てたい(育てなければならない)」という使命感のようなものがあるからです。
※「若い芽を摘む」という言葉もありますから、すべての成功者(大人、先輩)がそうであるとは限らないことには注意してください。
学生(若さ)はブランドです。気後れせず、むしろ、自分のウリとして前面に押し出すくらいでよいのです。
理由4.数日くらい寝なくても大丈夫
私も若い頃はがむしゃらに働けました。徹夜で仕事をしても、3時間睡眠の日が続いても、それなりのパフォーマンスを発揮できていました。
しかし、いまでは3時間睡眠の日が続くと、3日目には体に異常が生じます。頭が痛かったり、目が充血したり、記憶が飛んだり(寝落ちしたり)……。
体力は起業に欠かせない重要なリソース(資源)です。あなたはがむしゃらに働けるのです。
理由5.石を投げれば有識者に当たる
がむしゃらに働くといっても、その目的(方向)が間違っていては意味がありません。
正しい目的に向かって、勢い込んで働かなければなりません。
がむしゃら(我武者羅)とは
一つの目的に向かって,勢い込んで向こう見ずにする・こと(さま)。 「 -に勉強する」出典: Weblio辞書 がむしゃら
先に、「起業希望者」が一歩を踏み出せない理由をお話しましたが、下図のとおり、第1位は「事業に必要な専門知識、経営に関する知識・ノウハウの不足」でしたね。
一方、下図は、「起業希望者が起業準備者になった際に利用した支援」と「起業準備者が起業家になった際に利用した支援」、つまり、一歩を踏み出すキッカケとなった支援の内容をまとめたものです。
どちらも、第1位は「起業、経営相談※」、第2位は「インターネット等による起業・経営に関する情報提供」です。
※「起業、経営相談」には、商工会や商工会議所など支援機関への相談の他に、家族、友人、先輩経営者など周囲への相談も含まれています。
つまり、ノウハウの不足などに不安を感じていた起業希望者(起業したい人)の多くは、「起業、経営相談」や「インターネット等による起業・経営に関する情報提供」といった支援を受けることによって、不安を払拭し起業(起業準備)という一歩を踏み出しているということです。
もちろん、それら相談をした結果、ビジネスアイデアの未熟さを指摘され、起業を見送った人もいるでしょう。
しかしそれは前に進むための一歩です。いつまでも独りよがりの未熟なビジネスアイデアに固執し時間を浪費することなく、新たなアイデアの発見に時間を費やせるからです。
言い換えれば、ビジネスアイデアを思いついていて起業したいのに、有識者に相談することもなく、独りよがり(かもしれない)アイデアに固執している人は、時間を浪費しています。
20年前のように、Googleが日本に上陸していないような時代であれば、相談する有識者を見つけることは難しかったかもしれません(Yahoo!検索はありました)。
しかし、いまは、Goolgeで検索すればものの1分もかからずに多くの有識者を見つけることができます。石を投げれば有識者に当たると言っても過言ではありません。
しかも、コンテンツマーケティングが流行っていますから、多くのノウハウが無料で提供されています。
無料ノウハウを参考にビジネスアイデアをブラッシュアップし、正しい目的(方向)を見つけられる人もいるでしょう。そうでなくとも、提供されている無料ノウハウの質を見れば、その有識者が本物か偽物かを判断することができるでしょう。
あなたがよほどの情弱でない限り、起業に対する不安を払拭してくれる「ノウハウ」や「相談すべき有識者」を見つけることは難しいくないのです。
情弱(情報弱者)に共通して不足しているものは「検索力」です。あなたの検索力を測ってもらうために練習問題を出してみますね。
本記事を執筆するにあたり、「ホームページビルダーというソフトの1998年12月時点における最新版の価格(定価)」を調べる必要がありました。あたなもネット検索を活用して調べてみてください。もし価格を知ることができなければ、検索力を高める必要があると言えます。
理由6.固着観念のない真っ白な心がある
「固着観念」は「固定観念」と同義ですが、「固着」という漢字がよりその性質を表しているため、私は固着観念をつかうことが多いです。
固着観念(固定観念)とは
心の中にこり固まっていて,他人の意見や周りの状況によって変化せず,行動を規定するような観念。出典: Weblio辞書 固定観念
簡単に言えば、「人の話を素直に受け入れず、自分の考えを訂正しない」ような観念のことです。
「心の中にこり固まった観念」と表現されているように、これは長い年月をかけて心の中に固着していくものです。
そのこり固まった固着物を取り除くことはとても難しいわけです。
(喫煙によって真っ黒になった肺をキレイにするには、喫煙年数の○倍かかるだとか、禁煙しても肺はきれいにならないだとか、そんな話によく似ています)
なお、これは性格の話ではありません。それまで経験(職種、仕事のやり方など)によるものの話です。
こんな言葉をご存知でしょうか。
- 学ぶことは真似ること
- 守破離
- TTP
「学ぶことは真似ること」とは、効率的な学習方法を表す言葉です。
「学ぶ」と「真似る(まねぶ)」の語源は同じという説があり、「真似」は効率的な学習方法のひとつとして知られています。
「守破離」とは、茶道や武道などにおける修行の段階を表す言葉です。
「守」は、師匠や流派の教えを守り、そのまま習得する段階。
「破」は、それまでの教えを破り、他の師匠や流派の教えも取り入れ、自分をさらに成長させる段階。
「離」は、師匠や流派から離れ、独自のものを生み出す段階。
「TTP」とは、吉越浩一郎さんの言葉です。トリンプ・インターナショナル・ジャパンの元社長であり、「早朝会議」「ノー残業」「がんばるタイム」などのユニークな制度を導入し、同社の19年連続増収増益に貢献した凄い人です。
そんな吉越さんの言葉「TTP」は、「徹底的にパクる」という意味です。まさか……という感じですが本当です。ユニークな制度も他社のものをパクってアレンジしたものだとか。
おそらく、世の中に存在しない、まったく新しいビジネスアイデアを見つけることはできないでしょう。
すべての新ビジネスは、既存のビジネスをアレンジしたものであったり、海外のものを日本に持ち込んだだけであったり、なにかを真似したものです。
(真似する意図はなくとも、結果的に似たようなサービスがあったというケースも多いです)
あなたが思い描くビジネスアイデアも同様です。
それに似たビジネスは存在しますし、それに似たビジネスで成功している人はいます。
だったら、まずはその成功した方法を真似したらよい、単純な話です。
だから、有識者(成功者、先駆者)の「起業、経営相談」や「インターネット等による起業・経営に関する情報提供」といった支援を受けることによって不安が払拭されるわけです。
しかし、ノウハウなどを得ても、それを真似しなければ宝の持ち腐れです。
それにもかかわらず、固着観念がある人は、真似するという単純なことができません。
なにか余計なことをしたがります。無意味なプライドがあるのかもしれません。「私は仕事でこうやってたから、ここはこうした方がよいでしょ?」と。
……いやいやいや、守破離で言えば、それは「破」の段階ですから。まずは「守」の段階をマスターしてからにしてください。
ビジネスで成功する最速の方法は、まずは真似することです。あなたには、その単純なことを簡単に実践できる真っ白な心があるのです。
理由7.許可がいらない
「起業するのに許可がいるの?……起業したいと思えば誰でも起業できるんじゃないの?」と思うかもしれません。
確かに、学生であるあなたは、自分が決心さえすれば、いつでも独断で起業できるでしょう。
しかし、社会人(結婚している人、子供がいる人)はそうもいかないのです。
下図は、「起業準備者が具体的な起業準備に踏み切った理由」を、男女別にまとめたものです。
男女ともに、どの年齢層も第1位は「起業について家族の理解・協力が得られた」です。
……特に、結婚すると(親になると)この傾向は強くなります。あなたの独断で起業することはできなくなります。
理由は「理由1.路頭に迷わない」でお話した通り、家族全員が路頭に迷うリスクがあるからです。
だから、家族にプレゼンをしなければならないのです。
「こういうビジネスプランで、こういう収支計画だから、起業したいんだ。いいかな?」と。
これは、私が学生に起業を奨める理由として特に伝えたいものです。
家族を持つということは最高に幸せなことです。それは間違いありません。しかし、ときとして、最大の足かせにもなります。
これは家族が悪いわけではなく、家族を足かせと感じるかどうかはあなた次第です。
ライフプラン(人生設計)をしている人も少なくないと思いますが、起業を含めてやりたいことは結婚する前にやりましょう!
大袈裟かもしれませんが、結婚するまでの人生はあなたのためのものです。しかし、結婚してからの人生は家族のためのものです。
いずれにしても、あなたは誰の許可も得ることなく、独断で起業できるのです。
もちろん、起業の際には、いつでもやり直せるようリスクをコントロールしておかなければなりませんが、極論すれば、失敗したとしても路頭に迷うのはあなただけですから。なんとでもなります。
3.最後に
ここまでの話を読んだあなたは、「起業って思っていたより身近だな」と感じてくれたかもしれません。
それはとても嬉しいことですが、手放しで起業を奨めているわけではありません。
最後に、警鐘を鳴らしておきたいと思います。
商品をローンチ(新しい商品やサービスを世に送り出すこと、公開すること)した時点から、あなたには大きな責任が伴います。
「商品を買う(利用する)お客が損をしないように全力を尽くす」という責任です。
金銭的な損はもちろんですが、問い合わせを放置することによる時間的な損、期待値を下回る商品を提供することによる気持ち的な損など、いかなる損もです。
あなたが学生であろうが、無給であろうが、関係ありません。
あなたは、ファウンダーであり、社長(代表)であり、責任者であり、お客様窓口であり、クレーム処理担当者であり、商品(サービス)を守る親であるからです。
ビジネスにはゲームのような側面がありますが、遊びではありません。
命を取られるようなことはありませんが、真剣勝負です。
学生であるあなたには起業しやすい条件が揃っていますし、固着観念のない真っ白な心も持っています。
しかし、残念ながら、圧倒的に不足している「力」があります。
それは、「チームで働く力」です。
これは経済産業省が定義づけている「社会人基礎力」のひとつです。
出典: 経済産業省 社会人基礎力
一般的にですが、学生には「チームで働く力」に定義されている、次の6つの能力が不足しているということを意識してください。
- 発信力(自分の意見をわかりやすく伝える力)
- 傾聴力(相手の意見を丁寧に聴く力)
- 柔軟性(意見の違いや立場の違いを理解する力)
- 状況把握力(自分と周囲の人々や物事との関係性を理解する力)
- 規律性(社会のルールや人との約束を守る力)
- ストレスコントロール力(ストレスの発生源に対応する力)
……「○○力」で統一しないのが、官といった感じですね。
もっとも、特別に訓練をする必要はありません。
自分に不足している能力(高めたい能力)を意識しているか?していないか?だけで、その向上スピードには雲泥の差が出ますから。
人の話を聞くときは「ここは傾聴力だ!」、納期が目前に迫っているときは「ここは規律性だ!」といった具体です。
「社会人基礎力」は、あなたの起業やビジネスをスムーズに進める潤滑油のようなものです。
お客に対してだけでなく、ビジネスで関わるすべての人に対して、社会人基礎力をを意識した対応を心掛けてください。
学生であるあなたが起業家になるための参考になったなら、次回のシェアも楽しみにしていてください。
追伸:
高校生起業家のTさんは、「ユニーク・ジャンル」を発見し、マッチングサイトをほぼ完成させ、記事を書き始めています。
まずは、ゼロをイチに、最初の1件を獲得できればあとは微修正で回転するようになりますから、頑張っていきましょう!