私はマッチングビジネスを副業で運営していましたが、ある時期に問題を抱えていました。
この問題を放置すると、手に入れかけた売上○○万円を逃してしまうかもしれないほど深刻なものです。

私が抱えていた問題、それは業務の両立です。

一般的な会社員には所定労働時間があります。「この時間は会社の業務に従事しなさい」という、いわゆる定時のことです。言い換えると、副業の場合、マッチングビジネスの業務はこれ以外の時間(朝・夜・昼休みなど)に行わなければなりません。

副業を始める人の熱量は「本業:2、副業:8」です。これに対して、実際に割ける時間は 逆転し「本業:8、副業:2」、このギャップはかなりのストレスです。私は「なぜ、やりたくもない仕事に時間を取られなければならないんだ!もっと優先したいことがあるのに…」と卑屈にすらなっていました。

しかも、最悪の場合、待たされたお客様が他の類似サービスに乗り換えてしまいます。せっかく手に入れかけた売上○○万円を逃してしまうかもしれないということです。

今回は、この問題の解決方法をお伝えしたいと思います。

この記事を読むとわかること

副業など時間が限られた人でも、焦りやストレスを感じることなくマッチングビジネスを効率的に運営できる時短テクニック。

ポイントは…

  • 1人でできる(人を雇わない)
  • 副業でもできる(会社員と兼業)
  • お客様を待たせない(機会損失を防ぐ)

「マッチングビジネスをこれから起ち上げる自分にはまだ先の話」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。サイトの設計段階から意識し、これらテクニックを使う前提で構築しておかないと、途中で設計(業務フロー)を変更しなければならないというムダにつながります。

この記事の内容は、エージェント型のマッチングサイト(サイト運営者が、お客と提携業者の間に入って仲介する型)を想定しています。プラットフォーム型(システムを構築し半自動で仲介する型)には該当しないものもありますが、どちらの型にするかの参考になります。

それでは早速、テクニックを紹介していきましょう。

1.申し込み経路はフォームに限定する

日中は電話に応対することができないため、申し込みは「フォームからのみ」受け付けましょう
「電話に応対できることもある」という人もいるかもしれませんし、申し込み経路は多ければ多い方がよいのは事実ですが、応対できなかったときのデメリットの方が大きいです。「電話に誰も出ない=信用できない」というレッテルを貼られ、よほどの場合でもない限り2度と電話をしてきません。
100%応対できる人のみ、電話を採用しましょう。

2.フォームの項目は多く詳しくする

フォームのセオリーは「入力項目をできるだけ少なくする」ですよね。入力の手間を最小限にして申し込みの障壁を下げるためです。しかし、マッチングサイトを効率的に運営するという観点からは間違いです。
下表は、フォームの入力項目を「少なく最小限」にした場合と、「多く詳細」にした場合の、傾向の違いをまとめたものです。これを基に、フォームの項目を多く詳しくするべき理由を2つ解説します。

入力項目少なく簡単 多く詳細
申込者の数多い少ない
申込者の負担小さい大きい
申込者の深刻度(低い場合がある高い
後工程の手間(多い少ない
⇒右にスクロールできます

①冷やかし客を入場させないため

上表の「申込者の深刻度」です。
フォームの入力が簡単なほど、冷やかし客が紛れ込みます。冷やかし客とは、深刻度が低く、「とりあえず申し込んでみるか、まぁ、最後に断ればいいや」くらいに考えている人です。
一方で、入力が詳細(面倒)にもかかわらず、申し込んできた客の深刻度は高く、真剣です。そんな入力などものともしないくらい、“悩みを解決したい”という欲求が強い人です。
あなたには冷やかし客に構っている時間はありません。少し面倒だからと入力をやめてしまうような人はどうせ受注に結び付かないと割り切って、意図的に入場させないようにしましょう。

②みんなの手間を減らすため

上表の「後工程の手間」です。ちなみに「みんな」とは「申込者と提携業者とあなたの三者」です。
「入力項目が多いのに、申込者の手間が減るってどういうこと?逆じゃないか?」と思うかもしれませんが、申し込み後の後工程までを含んで比較した場合、フォームを多く詳しくした方が手間は少なくなります。

提携業者は申し込み情報を基に、受任するか?しないか?を判断します。しかし、情報が不足しているとその判断が難しくなります。判断が難しければ受任してもらえません。受任してもらえなければ売上は0(ゼロ)なので、あなたは「他にどんな情報が必要ですか?お客にもう1回確認してみます」と、提携業者と客の間で右往左往することになります。
手間が増えることにあなた自身は我慢できるとしても、客が我慢してくれるとは限りません。「何度も何度も面倒だな」「最初にまとめて質問しろよ」「要領を得ないな、素人か?」と不信感が募り、熱意が冷め、去っていきます。
常に意識しておかなければならないことは、客の「依頼したい」という熱意が最も高いのは申し込む瞬間です。この瞬間から時間が経過するにつれて熱意は下がっていきます。熱意が最高のときに必要な情報はすべて入力してもらいましょう。

3.折り返しは電話かメールか選択させる

申し込み後、あなたから申込者に折り返しの連絡を入れる必要があるかもしれません(上記の確認漏れではなく、初回面談日時の確認や、契約の案内など)。この場合、折り返しの方法(電話orメール)は申込者に選択させましょう。
「すべてメールにした方が効率的じゃない?」と思うかもしれませんが、メールでのやり取りが苦手な人もいます。メールを確認する習慣がない、簡潔な文章を書けない、まずは会話したいなど理由は様々ですが、このようなタイプの客に一方的にメールをしても“なしのつぶて”で時間を浪費し、結局は電話する羽目になります。

また、電話かメールを選択する項目に、「電話に出られない場合がある方は、メールをご選択ください」などと付記しておけば、ほとんどの人はメールを選択します。重要なことは、申込者自身に選択させるということです。自分で選択したからにはメールも積極的に確認してもらえます。

そのうえで電話を選択されたとしても、この電話は着信ではなく発信であり、あなたの都合を優先できますので、時間を確保できるタイミングで発信しましょう。なお、電話を選択した客には、「電話番号:03-●●●●-●●●●から発信します」など事前にアナウンスしておきましょう。多くの人が知らない番号からの着信は無視します。

発信元電話番号は固定電話でなければダメですか?

携帯電話でもまったく問題ありません。むしろ、抜き打ちで固定電話に発信されても応対できませんし、出先から発信する頻度も高いため携帯電話の方が好ましいくらいです(知られてもよい番号ならですが)。IP電話アプリを利用するという手もありますが、お客様は、IP電話番号だろうが、携帯電話番号だろうが気にしません。私は7年間、携帯電話番号だけで運営していましたよ。

4.提携業者への案件紹介はメールで行う

言うまでもありませんが、提携業者との業務連絡も基本的にはメールで行いましょう。
申し込み情報をまとめる“相談情報シート”のような名前のテンプレートを作成しておき、申し込み内容やヒアリング内容を整理し、案件紹介の際にはそれをPDF化してメールに添付するだけでもOKです。提携業者はそれをプリントアウトして面談に臨むこともできますし(メール本文にベタ打ちだと面談時に読みにくい)、あなたが後で見返す際などの管理も楽です。
また、案件紹介以外の連絡や請求書発行も基本的にはメールで問題ありません。

5.果報は寝て待たない

マッチングビジネスの醍醐味のひとつは「仲介後は実働しなくてよい(サービス提供の部分は提携業者にお任せ)」ですが、これは「果報は寝て待て」とは違います。あなたにはあなたの役割があります。言うなれば「第三者機関としての管理監督」です。
あなたにとっての客は「申込者」だけではありません。広い意味では「提携業者」も客です。ですから、両方が気持ちよく取り引きを完了できるよう配慮しなければなりません。ただし、このニュアンスは“献身の配慮”ではなく、“操作(コントロール)の配慮”です。

…私の積み上げてきた好感度が崩れていく音が聞こえてきそうですが、覚悟を決めてもっと言うと、

あなたにとってより大切なのは「提携業者」です。「申込者」の代わりは見つかっても、「提携業者」の代わりはなかなか見つからないからです。
誤解しないでいただきたいのは、「提携業者に媚びろ」ということではありません。「提携業者が仕事をしやすいようにサポートしましょう」、言い換えると、「提携業者が案件を早期に完了できるよう裏でコントロールしましょう」ということです。

具体的には次のようなタイミングで、「提携業者」に進捗確認を実施しましょう。
もちろん、進捗確認もメールでOKですが、自分なりの“進捗管理表”のようなものを作成しておくと、抜け漏れがありません。

進捗確認のタイミング

  1. 初回面談後
    無事に受注できたか?
  2. 1か月に1回程度
    受任中案件の中で問題が起きそうなものはないか?
  3. 通常なら完了している時期なのに完了していないとき
    完了しない理由は何か?

そして、問題が起こっている(起きそうな)場合、「申込者」に対してあなたが何らかのアクションを起こしましょう(これもまずはメールでOKです)。放っておいたらクレームになるものがあるかもしれません、何か行き違いがあるだけなのかもしれません、これらを未然に解消することが、結果、運営の効率化につながります。
仲介者という第三者機関であるあなたは公平公正な立場ですから、「提携業者」からも「申込者」からも“自分の味方”と思われています。困ったり、イライラしていても、メールをもらうだけで当事者は気分が晴れたりするものです。

6.クレーム対応は提携業者にしてもらう

上記の“配慮(コントロール)”をしていてもクレームは発生します。世の中にはいろいろな人がいますから、「そういうものだ」と思って割り切るしかありません。ただし、クレームの多くは「提供されるサービス」の範囲で発生します。つまり、マッチングビジネスにおいては提携業者の担当範囲であり、原理原則に従えば、クレーム対応は提携業者にしてもらうべきです。

とは言え、クレームが発生する度に「原理原則に従って、あなた(提携業者)が対応してください」などと交渉するのは時間のムダです。このようなデリケートな問題や、事前に想定できる問題に関するルールは提携契約書に定めておきましょう

条文例

「●●(あなた)は、依頼者の間で生じた紛争や損害案件、保障事項などについて一切の責任を負わないものとし、●●(提携業者)は自らの責任と費用をもって依頼者との円満な解決を図るものとする。」

※サイト運営者の担当範囲で発生したクレームは、サイト運営者(あなた)が対応しましょう。

7.料金回収も提携業者に任せる

料金の回収(請求)を誰がするか?は、十分に検討してほしいポイントです。
また、提供するサービスが「先払い」か「後払い」によっても考え方が異なります。例えば、提供するサービスが「物品販売」や「セミナー」であれば先払い、「成功報酬型コンサルティング」であれば後払い、といったところです。

先払いサービスの場合

料金の回収(請求)は、サイト運営者(あなた)がすることをお奨めします。「料金が支払われなければ、サービスを提供しない」、それだけのことですので、未払いは大きな問題になりません。
また、支払われた料金を保全しておけるので、客からのクレームによって返金が必要になった場合などにも対応できます(提携業者の手に渡ってしまうと返金を渋る可能性あり)。

後払いサービスの場合

料金の回収(請求)は、提携業者にしてもらうことをお奨めします。「サービスは提供したのに、料金が支払われない」という大きな問題になるからです。
想像できない人が多いかもしれませんが、未払金の回収ほどムダな業務はありません。メールや電話、内容証明郵便で催促をして、自宅を訪ね、郵便受けに名刺を入れ、最終的には訴訟する、本来あるべきお金を回収するために余計な時間とお金を使う…、思い出すだけで胃がキリキリします(笑)

このように書くと、「面倒なことは提携業者に丸投げかい?」と思われるかもしれませんが、これも原理原則の話です。マッチングビジネスは「客を紹介して仲介料をもらう」、そういうビジネスです。

また、客と提携業者は、サービス提供前に契約を締結します(あなたと提携業者の提携契約書に「直接契約を締結しなければならない」と定めておきます)。この、客と提携業者の直接契約に基づき料金を回収してもらいましょう。

条文例(料金回収は提携業者の責任)

「●●(あなた)は、●●(提携業者)が依頼者から報酬を得られなかった場合においても、実費負担、損害賠償を含む一切の責任を負わないものとし、●●(提携業者)は自らの責任と費用をもってこれを回収するものとする。」

条文例(直接契約締結の義務)

「●●(提携業者)は、案件に着手する前に、依頼者との間に書面による委託契約などを締結し、また付随する個人情報の取り扱いに関する書面などの法規上必要となる契約を締結すること。」

8.領収書は発行しない、または、PDFファイルで発行する

提携業者から仲介料を受領した際の「領収書」と「収入印紙(印紙税)」についてです。

領収書

マッチングビジネスを効率的に運営したい場合、領収書は発行したくありません。それ自体はお金を生まない単に面倒なだけの作業だからです。
基本的には、銀行振込の場合には「振込明細書」が、クレジットカード払いの場合には「利用明細書」が、領収書の代わりになるため、提携業者からの求めがなければ発行は不要です。
ですので、事前に、「領収書や受取書の二重発行を防ぐため、領収書は発行しておりません。振込明細書などをもって領収書に替えさせていただきます」などアナウンスしておくとよいでしょう。
しかし、発行を求められた場合には応じなければなりません。

収入印紙(印紙税)

提携業者からの求めに応じて請求書を発行する場合、次に検討しなければならないのは収入印紙です。
領収書や受取書は「課税文書」に該当し印紙税が課税されるため、これには収入印紙の貼付が必要だからです。なお、売上代金に係る印紙税額は下表のとおりです。

売上代金に係る受取書の印紙税額

No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書|国税庁

しかし、領収書ならなんでも収入印紙が必要かというと、実はそうではありません。
PDFファイルなどの電磁的記録に変換した媒体を電子メールを利用して送信したときは、「課税文書」を作成したことにはならないため、収入印紙(印紙税)は不要となります。
請求書を発行しなければならない場合であっても、PDFファイルなど紙以外の媒体を利用することで手間をひとつ減らすことができます。

9.入場制限を設ける

前記「2.フォームの項目は多く詳しくする」でも少し触れましたが、入場制限を設け、「あなたにとって価値のない客」、「あなたの幸福度を下げる客」が入り込まないようにしましょう。
入場制限を設け、客を取捨選択しなければ、「あれ?忙しいわりに儲かっていない」や「せっかく起業したのに嫌な仕事ばかり」という非効率の状態に陥り、多大な疲弊感やストレスに悩まされることになります。

イソップ寓話に『老人と少年とロバ』というお話があります。まずは読んでみてください。
↓↓↓↓↓

老人と少年とロバ

老人と少年、そしてロバが街に向かっていた。

少年がロバに乗り、老人がその横を歩いていると、通り過ぎる中に、
「年寄が歩いていて子供がロバに乗っているなんて恥ずかしい」
と言う人たちがいた。

2人は批判がもっともかもしれないと考え、老人がロバに乗って少年は歩くことにした。

しばらく進むと、通りすがりの人が
「ひどいじゃないか!あの男は子供を歩かせているぞ」
と言うのを聞いたので、2人とも歩くことに決めた。

するとすぐに誰かが、
「ちゃんとしたロバに乗れるのに歩くなんてバカじゃないか」
と言ったので、2人は一緒にロバに乗った。

今度はすれちがった人が、
「小さなロバに2人で乗るなんてロバがかわいそうだ」
と言った。

少年と老人はその通りだろうと言って、ロバを担ぐことにした。

橋にさしかかったとき、2人はロバから手を離してしまい、ロバは川に落ちて溺れてしまった。

これは、「すべての客を満足させようとすると、すべてを失ってしまうかもしれない」、「すべての客を満足させることはできない(すべきではない)」という教訓です。快活で真面目なあなたは、来るもの拒まず、すべての人を客として迎え入れようとしていることでしょう。ですが、優先すべきはあなたのビジネスの成功であり、あなたの幸せです。
入場制限の具体的な方法は『価値のない客もいる!収益と幸福度を高める「入場制限」』で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

10.最後に

以上、「副業など時間が限られた人でも、焦りやストレスを感じることなくマッチングビジネスを効率的に運営できる時短テクニック」を紹介しました。

マッチングビジネスに関わらず、ビジネスを、1人で、副業で、効率的に運営するためには、客を操作(コントロール)しなければならないという話です。客をコントロールすることを「マーケティング」と言います

それでは、次の記事でまたお会いしましょう。

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