緑化がもたらす効果1-豊かさと安らぎの向上
緑には様々な生理的・心理的効果が認められている。特に、屋上緑化のように、身近に眺め、そして、手で触れられるような緑の効果は一段と高まることが期待できる。
緑の効果として取り上げられているものには次のようなものがある。
- 修景(自然の美しさを損なわないように風景を整備すること)
- 安心感・やすらぎ
- テクノストレスの解消
- 宣伝効果・集客効果
- 審美的効果
- 区画の明瞭化
- プライバシーの保護
- 音響的効果
- 快適性
この記事では、これら心理的効果を3つに分類して深掘りしていきます。
1.単体の緑による効果
単体の緑とは、鉢植えの植物のようなものを指し、実験によって次のような効果が明らかになっている。
- 視覚疲労の回復効果
- 過度の集中を緩和する効果
- 精神疲労や緊張感の低減効果(α波の増加)
2.集合体の緑による効果
集合体の緑とは、樹林や緑地のような、ある程度まとまった緑の空間を指し、次のような効果が明らかになっている。
- 肉体疲労の回復を早める効果
- 運動能力や持久力の向上効果
- 精神安定をはかる効果
- 騒音間の減少効果
- 景観の向上効果
3.植物の香りによる効果
植物の香り成分については次のような効果が明らかになっている。
- 精神疲労の低減効果
- 不快感の低減効果
- 快適感の向上効果
- 鎮静作用
- 睡眠の安定化
- 覚醒感の安定化
- 呼吸器官の活性向上
- 生体内の解毒作用
- DNA活性の向上
ある種の植物揮発成分は一種の薬利作用を有していて、これらが森林独特の空気感の形成に一役かっている。この効果は屋上庭園やアトリウムなどでも発揮されるものであり、そのための植物種の選択も重要になる。
一般的にはスギやヒノキの仲間の針葉樹、ハーブ類のような芳香性の植物の効果が高いとされている。
植物揮発成分は、古くからアロマセラピーの原料として治療に用いられていて、その生理的・心理的効果は広範囲にわたって確認されてきている。
フィントンチッド(Phytoncide)と呼称され、オフィスビルなどにおいて、空調設備を通じて植物揮発成分を放出するような装置も作られている。
フィトンチッド(phytoncide)とは、微生物の活動を抑制する作用をもつ、樹木などが発散する化学物質。植物が傷つけられた際に放出し、殺菌力を持つ揮発性物質のことを指す。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
森林浴はこれに接して健康を維持する方法だが、健康だけでなく癒やしや安らぎを与える効果もある。フィトンチッドはその殺菌性や森林の香りの成分であるということから良いイメージがあり、森林浴の効能を紹介する際に良く用いられている。